沙帆は財布だけを持ち、近くのスーパーに向かって歩いていた。
学校の通学路とは別の道だが、意外と土地勘のある沙帆は難無くスーパーへと辿り着くことができた。
「いらっしゃいませ」
レジの方から元気の良い声が聞こえた。それから沙帆は、今日の晩ご飯は何にしよう、と今更思うのだった。
新婚さんみたいだな、沙帆はふと思った。
「んー」
唸りながらも沙帆は食品売り場を何度も往復し、最終的にオムレツを作ることに決めた。
卵とジャガ芋と人参と、というように材料を買い終えると、レジ袋をガサガサと言わせながらマンションを目指した。
「あ、卵アレルギーだったらどうしよう」
沙帆はしまったと思った。買ったものの、もし洋太がアレルギーでもあれば作るわけにいかないのだ。
あとで連絡を取れるように携帯の番号を聞いておかなくては、と沙帆は思った。

