「そんな……」
沙帆は少しだけ情けない声を出し、洋太をちらりと見た。
「そう。だから沙帆は好きな時間に先に入れば良いよ」
「はい」
「そうだな。食事は」
「あっ、あたしが作ります。料理少しはできるので」
「本当に?そうか、助かるな」
その時沙帆はほっとした。
この人の笑顔は優しくて、安心のできる素敵な笑顔だなと思った。
「あとはそうだな、最初会った時のことで解ると思うけど、俺多少口悪いから」
「そうですか?」
「まあ、はっきり物を言う男だということは忘れないでな」
「はい」
「それから、敬語は使うなよ。一緒に生活するのに堅苦しいと疲れるだろう」
「……うん」
「よし」
その後直ぐに呼び鈴が鳴った。
洋太が立ち上がり、ドアを開けるとまたたくさんの荷物が運び込まれた。

