「そうだな。夫婦となると別だろうけど、寮だとか病院の大部屋だとかで生活することを想像してもらえれば解ると思うけど」
 

 
沙帆はまだ口を付けていない麦茶をゆっくりと飲んだ。
 

 
「お互いのことに首を突っ込むような真似はよくないよな。そういうことをされると鬱陶しく感じる奴もいる」
 

「それじゃあ洋太さんも」
 

 
そうなるかな、と洋太は困ったようにほほ笑んで頷いた。沙帆は切ない気持ちになった。
 

それから洋太はこう続けた。
 

 
「それから、食事や風呂のことだな。風呂は沙帆が先に入ると良い。俺のあとは嫌だろう?」
 

「そんなことはっ」
 

 
焦ったように沙帆は首をぷるぷると横に激しく振った。
その仕草を見て洋太は再び微笑んだ。
 

 
「俺は基本的に不規則な生活をするから、俺が風呂に入るのを待っていたら沙帆は入れないよ」