嬉しそうに受け取った沙帆は、それと着替えを持ち風呂場へと歩いて行った。
とても十八には見えないな、と洋太は改めて思い直した。
頭、顔、体を一通り洗い終わった沙帆は浴槽へ浸かった。沙帆からふう、としあわせな溜め息が漏れる。
「洋太さん、か」
浴槽に張った湯へと付いてしまう長い髪をひとつにまとめ、沙帆はうとうととし始めた。
「……」
遅いな、女の子はこれほど入浴に時間がかかるものなのかと、その頃の洋太は思っていた。
かれこれ、もう既に沙帆が風呂場へ行ってから40分はたっていた。
「うん。様子を伺いに行くだけだっ、様子を伺いにっ」
自分に何度もそう言い聞かせながら、洋太は腰をあげた。
ひたひたと風呂場へ向かう。
こんこん、とドアをノックをする。
「沙帆?大丈夫か、のぼせてないか?」
至って風呂場はしんとしている。
おかしいと洋太は思った。
まさか、沙帆はのぼせて気を失っているのでは?

