にやりと怪しい笑みを残して、洋太は空になった皿やコップを流しへ提げに行った。
沙帆は気まずい気持ちになった。
あれから二人でテレビを見ている。
沙帆はベランダへ繋がる出窓がとても気に入ったらしく、その側を離れなかった。
「沙帆」
ふと洋太が沙帆を呼ぶ。反応した沙帆はくるりと顔を洋太の方へと向け、なあにと答えた。
「風呂に入ってこいよ」
「うん、そうします」
沙帆は裸足でぺたぺたと言わせながら自分の部屋へと戻り、着替えを持って出てきた。
すると急にキョロキョロと辺りを見回す沙帆を不思議に思い、洋太がどうしたのかと聞いた。
「バスタオルがいるなと思って」
少しだけおかしそうにはにかんで言う沙帆に、洋太は待っていろと言うと、空き部屋に置いたダンボールを開けてそこからバスタオルや洗面器などを出した。
それをまとめて沙帆へ手渡す。
「近々新しいのを買いに行こうな」
「……ありがとうございます」

