覚えてる。あの、夏の日のこと。
二人で笑って、はしゃいで、話して、走って、そして、泣いたこと。
ねぇ。いま、君はどこにいるの?



「……え?」
「ごめんね、言えなくて」
「待ってよ、それって……それって!」

私がいままで出したことの無いくらいの大声を出すと、目の前の『君』はうつむいた。

「…………ごめん」

君は謝る。何度も何度も「ごめん」って呟いて。そのたび、君が手にする向日葵が揺れる。
違う、違うよ。私が欲しいのはそんな言葉じゃないの。ただ笑って、さっきみたいに「騙された!」って言ってほしいの。馬鹿にしたっていいよ。それも、いまなら許してあげるから。だから……っ!

「そんなの……やだ、よぉ……っ」

お願いだから。

もう会えないなんて言わないで。