「は、はい。私が明日の朝餉の買い物に行っていたら途中で迷ってしまって・・。すぐに帰るつもりがいつの間にか暗くなってしまったんです。」



迷う・・?春乃は京出身者じゃないのか・・。じゃぁ・・・・。




「それで、とりあえず近くの人に聞こうと思って路地を曲がったら突然黒い大きなものが出てきて・・・怖くなって座り込んでしまったんです・・・・。そしたら、その燦が助けてくれたんです!」



「燦?君は燦と言うのかね?」



近藤が俺に名前を尋ねてきたので頷いておく。



「春乃。お前にはいつも、一人で出歩くなって言ってあっただろ!」


「す、すいません!」


「まぁまぁ、土方君。春乃君も我々のために外に出かけてくれたのですから・・・」


「まぁ、山南さんが言うなら・・・。次からは気をつけろ」

「は、はい!」



「まぁこれで君が間者じゃないことは分かったね」


「待て近藤さん。安心するのはまだ早いだろ」


「そうですね・・。たまたま通りかかったには出来すぎていますし」


土方と山南の両方が俺を疑ったまなざしで見てくる。