京ってのは、こうも堂々とこいつらがのさばるようなところだったのかよ・・・。



何て思いながら目の前の黒いナニカを見る。



『・・参ります』



そう小さく呟いた後、その黒いナニカは大きな叫び声をあげて消えた。



しばらくボーっとした後、皐が連れて行った女が心配になり、急いで皐の元へ向かった。



少し歩けば、皐の尻尾が道の角から見えた。


『皐』


名を呼べば、俺の方へやってきてそのまま肩に乗った。


『女は?』

「そこに居る。ただ、まだ震えておるぞ」


『わかった』


頷いてから、角を曲がり座り込んでいる女へ近づく。


『あんた名前は?』


「あっ・・さ、佐藤・・春乃・・」


佐藤・・・?


『・・。そう。家は?』

「八木邸・・・・」