ふわぁ・・と大きな欠伸をしながら月が綺麗な道を歩く。



『皐(サツキ)・・眠いぞ』


「今晩は気配がせぬ。宿を取って早々に休むのだな」




『久しぶりに寝れる・・』




灰色の袴に黒の着物。黒い布で頭を覆っているその人物は、目元を頭を覆っている布で隠し、年齢は10代半ばくらいだろう。


その人間の肩には、小さな動物が一匹乗っていた。



『・・眠い』


「我慢せい燦(サン)よ。もう少しの辛抱じゃ」



燦と呼ばれた人間の肩に乗っていた動物は、燦を必死に諭す。