私は焦って涙を袖口で拭う。 真紅に泣いていたことがバレては困る。 私にもプライドはあるからだ。 けれど目の赤みは暫くしなければ消えないから、 バレるのも時間の問題だ。 私は真紅が気づかないことを祈るしか出来なかった。 あ。そうだ! トイレに逃げよう。 さすがの真紅もついてこないだろうし。 「私……ちょっと、トイレに行ってくる。」 外を眺めていた真紅を背に、そさくさ教室から出ようとしたが…… 「駄目だよ。」 ぎゅっと、私を逃がさないように、 真紅は私を抱き締めた。