嘘つきシャボン玉の恋ゲーム


楽しい日々は瞬間的に過ぎ去り、
ついにマコトが引っ越す前日になった。

マコトと会える、最後の日。


私はマコトに会う前、蘿蔔がいないときにお母さんにそのことを話した。




………

「え、あのマコトくん引っ越しちゃうの!?」

「うん。
なにかマコトにあげたいんだけど、なにあげたらいいと思う?」

「んー………、あっ!そうだ!
お母さんいいもの持ってるよ?」

「どれ?」

「これあげたらどう?」


お母さんが引き出しからとり出したのは、陰と陽のネックレス。

それをお母さんは懐かしそうに眺めて笑った。

「これはね、お母さんが高校生のときに好きな人にあげる予定だったものなの」

「よていって?」

「告白のときに渡そうと思ったのにその人引っ越しちゃって……
けどこれにはあの頃の、お母さんの気持ちがこもってるの。」

「そんな大切なもの…いいの?」

「いいのいいの。
これ、ペアネックレスなんだよ?
つけていれば心はずっーと一緒になれるシロモノ!」


お母さんは自慢気に話した。

今考えてみたら、付き合っていないのにペアネックレスを贈ろうとしていたお母さんは、少しずれてるんじゃないかと思う。


「お母さんは………今でもその人のこと好き?」

「どうだろうね。」


曖昧な答え。
そしてお母さんはしばらく間を空けた後、口を開いた。


「だけどお母さんが曖昧だからいけなかった。」

「へ?」


首を傾げる私の肩をお母さんはがっちりと掴んだ。

「優花、あともう少し。もう少し待ってね。
あと少しでお金が貯まるから。
そしたらこの家を出よう」



家を出る、それがどういう意味か理解した私は頷いた。

「よしっ、
じゃあこのネックレスをマコトくんに渡しなさい!」

「………うん」



………………