嘘つきシャボン玉の恋ゲーム

それからマコトと毎日のように遊んだ。
明るくて、変に格好いいマコト。

そんなマコトのおかげで私は笑顔を取り戻した。
本物の笑顔を。


私がマコトの笑顔を取り戻させてあげられたのかは謎だったけどな。


ある日。

「あ、ゆうかに言わなきゃいけないことがあるんだ」

「なになに?」

「二人が、仲直りしたんだ。」

「本当!?よかったね!」

私は嬉しかった。自分のことのように。
普段はしないガッツポーズなんてしたりして。



…けどマコトは一度微笑んだ後、
俯いて似合わない暗い表情を見せた。

嫌な予感。


「それともう1つ。
……おれ引っ越すんだ。」

「え、うそ!?」

「もっとゆうかといたかったのに…
ごめんな、ゆうか。」

申し訳なさそうに私の目を見て告げたマコト。
そのときの表情は今でも鮮明に覚えてる。

「なにが?
むしろあたしはマコトに笑顔をもらったのよ?」

「はは、ありがとう」


笑った後、マコトは私の顔にゴシゴシとハンカチを押し付けた。

(そうか、あたしないてるんだ。)
…気付かない間に、頬は濡れていたらしい。


悲しかった。寂しかった。
強がった。行かないでって言いたかった。



けど私はマコトのおかげで笑えたから、

その『私の笑顔』で見送んなきゃって……小さな頃の私は拳を握りしめた。