嘘つきシャボン玉の恋ゲーム

静まり返るリビング。
息の詰まる、鉛のような空気。

子供ながらも、私は唾を呑み込んだ。


「お父さん…いえ、蘿蔔。
なにが起こったか説明して。」


冷静なお母さんの問いに蘿蔔は俯いたまま、
微かに口を動かした。




「……会社が潰れる。」



「えっ。」

思わぬ言葉に幼い私も声を漏らす。

小学校低学年だといっても、『会社が潰れる』ことの重大さは理解していた。



蘿蔔の話によるとなにか大きなミスをしてしまったようで。

そこから悪化し、倒産という形になりそう…ということだった。



「…そっか。
じゃあこれからはわたしの仕事と、今までの貯金でやりくりしましょう。」

あまりにも淡々としている母。

なんでそんな対応が出来るのか訳が分からなかったし、
横で私は絶句していた。



*これからどうなるのか――、
それが心配で心配。*



…実際は倒産してもお母さんの情報屋という仕事の収入もそれなりなので、
金銭的には不自由なく心配は無駄だった。

ちなみにお母さんは情報屋のおかげで、
倒産についてを知っていたらしい

まぁそんなことは、
未知な私には知ったこっちゃなかった。