そう言うと理恵子は一瞬気まずそうな顔をしたが、すぐにいつものヘラッとした顔に戻った。
気を使うことが逆効果と察したのだろうか。
理恵子は見た目とは違い空気を読むのが非常に上手い。
そんなことに気がついたのもつい最近。
私はあの時から世界観すら変わったんだな……
小百合はというとピクリとも表情を変えなかった。
そして理恵子は思いついたように口を開く。
「嬉しそう!優花。」
「は!?いきなり何を……」
「だってなんだかんだ好きなんでしょ?
真紅くんのこと。」
(私が…………真紅を好き?)
考えたことなかった。
だって私は………………………
恋したこと、なかったから。



