美光は話を続けた。
「あとは・・・君は最初、母の羽華と父の蘿蔔と二人暮らしだった。
羽華は優秀な情報屋。
蘿蔔は大手企業の社長。
勿論生活は安定してたみたいだし。
お前は幸せだったらしいね。
だけどある日を境に実の父の蘿蔔に――」
壊れていたカセットテープが急に直ったように、
急に過去の記憶が頭に流れ始める。
【このクソガキが!!】
『やめて』
【嫌っ】
『忘れたのに』
【ごめんね。優花。さよなら。】
「やめてやめてやめてやめてやめてやめて――」
嫌だっ………思い出したくないっ!
真っ黒。
頭が痛くなる。
否定しても流れてくる記憶に拒否するが効かない。



