「ふふっ、真紅がそんなに焦るのは珍しいね。 大丈夫。なんともない。 だからクレープ寄越せ。」 「最後のなに? いらなくない?」 「ははっ、一番重要だ!」 笑いながらクレープを奪い取り、頬張る。 とろける甘さが口の中に広がれば自然と頬が緩む。 私はちっともベンチで休めていないことも忘れ、歩き出した。