「私ちょっとそこのベンチで休んでる。」
「しょうがないな…。じゃあさっき見かけた店でクレープでも買ってくる。
なにがいい?」
「スペシャルストロベリーソースのガトーショコラハッピーカラフル季節限定パフェクレープ。」
「ながっ!しかもよくスラリと言えたな……」
「前に付き合いでそこのクレープ屋行ったときに友達(仮)のを食べさせてもらったら、うまかったんだよ。
情報屋の記憶力をなめるな。」
あそこのクレープ屋は絶品だ。
大通りの死角にあるくせに人気だからいつも並んでいるんだ。
…と、説明を付け足し、
少しドヤ顔をしてみる。
が、真紅は表情を曇らせていた。
「それならむ…のことも覚えていてくれればいいのに………」
真紅が何かを呟いた。
しかしまるで神が邪魔するように強い風が吹いて、
私にはあと一歩のところで大切な言葉が届かない。
「なんて言った?何を覚えてろって?」
はぁ……と深い溜め息を吐き、私の仮彼氏は憎むように空を睨む。
まるで神を否定するような感じがした。
「……なんでもない。買ってくるから待ってて。」
「………?。うん…。」



