「お前将来どうすんの?」
孝介がタバコを吸いながら聞いてきた。

孝介はここらへんで1番強いと言われている。中学生の卒業式では母校だけじゃなくて近くの中学で変な噂が流れてた教師を全員二週間以上入院させた、という伝説を持っている。
勿論そのせいで入学式も出ずに停学となったが・・・。
「別にまだ考えてない。まだ僕ら高二だし。」
そう答えると
「ちっさい奴だな。夢を持て、夢を。」いつもの台詞が返ってきた。余計なお世話だ。
「うるさいな、つかお前今日バイトはどうしたの、土曜は夜勤だろ。」
「今日はいつものメンバーで朝まで飲む。」
「何処で?」
「此処で」
(チクショウ、またか)
「何で言わないんだよ」
「別にいいだろ、あいつらが全部用意するんだから。」
「僕今から課題するんだけど」
「駄目、まだ期限じゃないじゃん。」
(このマイペース野郎)
「僕は早く終わらせたかったんだ。」
ビービー
部屋のチャイムがなる
「来たぞ。」
「なんで僕が開けなきゃいけないだよ。」
ドアを開けると泣きながら酒を持って既に顔の赤い、長い髪の女と短い髪の少し筋肉質の女が入って来た。
うちの寮は寮生が少ないので男女が同じ寮だ。

「何がいけないだよ〜」長い髪の女、亜希が隣の短い髪の女、陽子にからんでいる。「私は男にうつつぬかしてる場合じゃないの。大会も近いし。」陽子は烏龍茶を飲みながら言う。

亜希は自称恋多き女、僕から見れば、恋に恋してる女だ。何故会って三日の男と付き合い二ヶ月で別れるんだ。つうか、それは恋人と言えるのか・・・
陽子は陸上部に全てを捧げる女だ。速く走るために山に篭って限界まで脂肪を燃やし、酒も一切飲まない。髪が短いのもオシャレや好みではなく、少しでも体を軽くするためらしい。
何故そこまでするのかは誰も知らない。