私はお礼が言いたくて、 コートのポケットから携帯を出して言葉を打とうとした けれど、 あなたはすぐに じゃあね、 といって帰ってしまった。 お礼も言えない、嫌な子って印象だったかもしれないね。 でも、 暗闇の中でも見えた深い優しさの溢れた瞳を 私はずっと忘れられなかったの――……