ユウジは篭の鳥となった

ユミにも会えず、外にも出してもらえず、父親は憎んでも憎みきれず…毎日笑っていた自分が、どこかずっと昔の話のようで…―ユミは一体どうしているのか、そればかりが気掛かりで

そんな日の夜、今日は満月だった。久々に外気を浴びようと、窓を開けるユウジの耳に飛び込んできたのは…―愛おしい声

「…―ウジさん…ユウジさん!」
「…!」

二階にあるユウジの部屋、ユウジは何も考えずにその部屋から飛び降りたのだ

「…うっ」
「ちょっと!何してるの…っえ」

痛みすら愛おしい…―ユウジはユミをきつく抱きしめた

「ユウジさん?」
「あぁ…ユミ、ユミ、ユミ…会いたかっ…た…」
「…まったく…甘えん坊ですね」

そのあとに、お坊ちゃん、と付け足したユミの顔は涙でぐしゃぐしゃに濡れていた…―何を思ったのだろう、ユウジはユミの手をとり走り出したのだ

「…―逃げよう」

こんな地から抜け出そう…―どこか自分達を知らない地へ…

「…―はい」

ユミは、はじめからそのつもりだったのだろう…―何も疑問に持つことはなく、走った

ユミは…―胸の痛みを抑えながら