遠野は笑って言った「また同じ」と…―ミキは「何?」と問う

「お嬢様と奥様は本当に…―お嬢様は奥様の生まれ変わりのようにそっくりです」
ミキはおかしそうに笑う遠野につられて笑い「今度はなぁに?」と、薔薇の花を弄りながら、再び問う

「どうして棘を抜いてしまうの?薔薇が可哀相。って奥様はおっしゃったんですよ」

そんな遠野の言葉に、ミキは驚いた
「まるで、私がお母様の真似をしているみたいね」
薔薇の花を花瓶に戻し、ベッドに腰掛ける…―遠野がまた口を開く

「私が奥様に使えた期間は短いものでしたが、奥様はとても心優しく、病気にも負けない強い方でした」
ミキは母の話を詳しくしてくれる遠野の言葉に、真剣に耳を傾けた

「ですから…―そんな奥様にそっくりなお嬢様は、奥様のような、素敵なレディーになれますよ」
遠野は何かを言いかけたが止め、話題をさりげなく切り替えた…―それにミキは気付いたが、気付かないふりをした

そして陽気に問う
「あら、今は?」

そんなミキに遠野は、軽く頭を下げて言ったのだ

「今も素敵ですわ、お嬢様」