最近気になることがある
それは先日見付けた公園にいる薔薇の男…―いつもスーツ姿の為サラリーマンか何かか
その男は、ミキが公園に目をやるたびにいて、よく薔薇の花束を持っている…―少し子供っぽいネーミングかと思いつつも、ミキはそんな彼を『薔薇男さん』と呼んだ
「お嬢様」
「あ、遠野さん…来ていたのね」
そんな、何をするでもない薔薇男を眺める日々、顔が見える訳でもないのに、よくその男にミキは目を奪われ、意識を持って行かれていた
「最近よく、ぼーっとしていますね。どこか体調でも悪いのですか?」
心配げに尋ねる遠野に、ミキは首を横にふる
「いえ、大丈夫よ、それより今日の薔薇は一段と綺麗ね」
嫌いだった花が、薔薇のおかげで好きになった…―その為、遠野が時折抱えて来る花束が楽しみになった
今日、遠野が抱えていたのは満開になる前の深紅の薔薇…―蕾のようで、そうでなくて、咲きかけている未熟なそれが、ミキにとってとても魅力的に思えた
「また見付けましたよ、お嬢様」
遠野は、いきなり小さく笑い言葉を続ける
「奥様と似ているところ、見付けました」
遠野は楽しげな笑顔で、薔薇のモチーフのあの花瓶に、その魅力的な薔薇を飾っていく
遠野の言葉に首を傾げ、花束から一輪だけ薔薇を抜き取った…―棘は全てとられていた
「奥様も蕾のような…咲ききっていない薔薇がお好きでした」
「…そう、似ているのね、本当に」
ミキは、棘のとられた場所を撫でるように薔薇を持つ
「旦那様がくださった花瓶によく映えますね」
飾り終えた薔薇を、満足そうに眺め、遠野は、ユウジからミキへのプレゼントである花瓶をそっと撫でた
「ねぇ、遠野さん」
「…?はい?」
少し不機嫌な声が遠野に浴びせられる…―ミキを見ると、少し不服そうにその一輪の薔薇を遠野に差し出しながら、言葉を続けた
「棘、とらなくても良いんじゃないかしら?なんだか可哀相」
ミキがそう言った瞬間、遠野は驚いたように、吹き出したのだ
それは先日見付けた公園にいる薔薇の男…―いつもスーツ姿の為サラリーマンか何かか
その男は、ミキが公園に目をやるたびにいて、よく薔薇の花束を持っている…―少し子供っぽいネーミングかと思いつつも、ミキはそんな彼を『薔薇男さん』と呼んだ
「お嬢様」
「あ、遠野さん…来ていたのね」
そんな、何をするでもない薔薇男を眺める日々、顔が見える訳でもないのに、よくその男にミキは目を奪われ、意識を持って行かれていた
「最近よく、ぼーっとしていますね。どこか体調でも悪いのですか?」
心配げに尋ねる遠野に、ミキは首を横にふる
「いえ、大丈夫よ、それより今日の薔薇は一段と綺麗ね」
嫌いだった花が、薔薇のおかげで好きになった…―その為、遠野が時折抱えて来る花束が楽しみになった
今日、遠野が抱えていたのは満開になる前の深紅の薔薇…―蕾のようで、そうでなくて、咲きかけている未熟なそれが、ミキにとってとても魅力的に思えた
「また見付けましたよ、お嬢様」
遠野は、いきなり小さく笑い言葉を続ける
「奥様と似ているところ、見付けました」
遠野は楽しげな笑顔で、薔薇のモチーフのあの花瓶に、その魅力的な薔薇を飾っていく
遠野の言葉に首を傾げ、花束から一輪だけ薔薇を抜き取った…―棘は全てとられていた
「奥様も蕾のような…咲ききっていない薔薇がお好きでした」
「…そう、似ているのね、本当に」
ミキは、棘のとられた場所を撫でるように薔薇を持つ
「旦那様がくださった花瓶によく映えますね」
飾り終えた薔薇を、満足そうに眺め、遠野は、ユウジからミキへのプレゼントである花瓶をそっと撫でた
「ねぇ、遠野さん」
「…?はい?」
少し不機嫌な声が遠野に浴びせられる…―ミキを見ると、少し不服そうにその一輪の薔薇を遠野に差し出しながら、言葉を続けた
「棘、とらなくても良いんじゃないかしら?なんだか可哀相」
ミキがそう言った瞬間、遠野は驚いたように、吹き出したのだ
