少しの間、あたしは思考停止状態になってしまった。

え、えっと・・・、

「俺と一緒に来てくれないか?」って言われたんだよね?


「あたしも一緒に行くってこと・・・?」

「だからそう言ってんじゃん。」


そう言う雄は真剣な表情であたしを見つめている。


「俺と一緒に、アメリカに行ってほしい。」


アメリカ・・・。


「あたし・・・、英語話せないよ?」

「そんなの俺がいくらでも教えてやる。」

「実は飛行機乗ったことなくて恐いんだぁ・・・。」

「俺がいるだろ?」

「それから・・・、それから・・・。」

「奈美。」


強く、強く包んでくれる雄の腕。

大好きな雄。

さらに涙が溢れてくる。

「その涙はどっちでとったらいいの?嬉し泣き?それとも嫌な方?」

「そんなの・・・!











嬉し泣きに決まってるじゃん・・・!!!」


きっと、お母さんたちなら許してくれる。

いつもあたしを応援してくれる人たちだから。

あたしが一度決めたことは最後まで応援してくれるから。


「へへっ。お母さんたちに言わないとね。留学したいって。」

「俺からも言うよ。『俺の我が儘です』って。」

「本当に!?でも我が儘じゃないよ。・・・あたしだって、雄と離れたくないもん。」

「・・・あんま可愛いこと言ってっと、襲うぞ。」


おそっ!?って、えぇ!?


「もぅ!バカ!」

「そのバカを好きになったのは?」

「・・・あたしです。」

「はい。だから、お前もバカ。」


やっぱり、雄には勝てないなぁ・・・。


この関係が崩れることはない。

そう信じて、




花恵さんのことも、

留学のことも、



けじめつけないと。