「聞いて下さい。お願いします。」




「………」




このチャンスを、無駄にすることは出来ないの。




「お願いします!!」




「……分かったから。」




そう言って、また歩きだす彼の後を追う。




…ほら、やっぱり。




この人は優しい人だ。




歩くのに慣れてないあたしに、歩幅を合わせてくれてる。




横を歩いてはないけど、ときどき後ろにいるあたしを気にしてくれてる。




それが素直に、嬉しかった。




1人になって…幽霊になって初めて、人の優しさに触れた。