「爽麻…」 ゆっくりと振り返りながら、名前を呼ぶ。 爽麻は何も言わずに、ただ頷いた。 優しすぎるくらいの瞳で。 あたしは爽麻の胸の中に飛び込む。 …でも、体は爽麻の体温を感じない。 触れられない、その温かい体温。 泣きそうになりながら、爽麻を見上げると。 爽麻は、あたしの体の周りに手を回した。 それは、まるで抱きしめられてるみたいに。 触れてないはずなのに、あったかい。 爽麻の魔法だね、きっと。