「シオリ」 いきなり振り返った爽麻にビックリした。 表情からして、怒ってるようには見えない。 あたしは心の中で、ホッと溜息をつく。 「行くぞ」 「あっ…うん!!」 差し出された手を、ギュッと握る。 「圭君、行ってきます!!」 「気をつけてね」 「はいっ」 「行ってらっしゃい!!」 笑顔で手を振る圭君に、あたしも負けないくらいの笑顔で手を振り返した。 そうして、最初で最後のデートが始まった―――。