「出来たぞー」 「はーい」 爽麻の声がキッチンから聞こえて、圭君が返事した。 2人の声は、いつも通り。 今さっきの空気はどこにもなかった。 あたしはホッと心の中で溜息をついた。 「おいしー」 「どーも」 爽麻はお腹が減ってないらしく、食べてない。 めんどくさがりだけど、ちゃんと作ってくれるもんね。 そんな爽麻が、あたしは大好きだよ。 自分が食べなくても、手抜きなんてしない。 だからいつだって、爽麻の料理はおいしい。 圭君は黙々と食べてる。 あたしは…もちろん食べてます。