その男の手にある紐が、ゆっくりと近付いて来る。 どうしてこの人はあたしを選んだのだろう。 知り合いでもない。 ただ見つけた人があたしだったの? ちょうど通りかかったのがあたしだったの? なんて悲しい運命なんだろう。 こんなことになるなら、散歩しなきゃ良かった。 退屈でも、家でゴロゴロしてれば良かった。 何で? 何であたしなの?