それから、お互い何も話さないまま家に着いた。 あたしは顔を上げずにソファに座った。 泣いてるのバレてないのかな。 「シオリ」 胸が、ドキッとした。 動いてない心臓が、跳ねたみたいに。 爽麻と出会ってから、あたしには不思議なことばかりが起こる。 「なに?」 どうして名前を呼ぶの? 「こっち見ろ」 あたしの前にしゃがんだ爽麻が、そう呟いた。 爽麻の言葉に、あたしは素直に従った。