「歩くのいつもより遅いぞ」 「え?」 本当にビックリした。 そんな小さなことにも気付くなんて。 「疲れたのか」 「あ…うん」 本当は違うけど、あたしは追及されなくて済むように頷いた。 「そうか」 爽麻の優しさに、胸が痛んだ。 …ゆっくりと、あたしに合わせて歩いてくれる、その姿に。 あたしの隣を普通に歩く爽麻の姿に。