「ぇっ…で、でも……」 そんな顔をされたら、強く断ることができない。 そんなあたしに追い討ちをかけるように颯ちゃんが言葉を重ねる。 「頼むよ、琴音。少しだけだから、な?」 「ぅっ……」 「琴音…」 颯ちゃんの持つ本をじっと見つめる。 少し考えたのち、ゆっくりと手を伸ばして本を受けとった。 「………ココア」 ぽつりとつぶやくと、颯ちゃんは笑った。 「ははっ。お安いご用でございます、姫様」 うやうやしくお辞儀をする颯ちゃん。 そんな颯ちゃんを見下ろし、小さく笑う。