こんな自分が情けなくて、視線を逸らそうとすると。
「…ほら、立てるか?」
―――えっ…?
脇の下に両腕が差し込まれ、ぐいっと引き起こされた。
周りの女の子たちが、イヤーッ!と騒ぐ。
訳も分からないままのあたしに、耳元でそっと彼が囁いた。
………周りには決して聞こえないような声で。
「―――そんなに慌てなくても、放課後会えるだろ…?」
甘いその囁きに、体が熱くなる。
それを感じ取ったかのように彼はくすり…と笑い、言葉を紡いだ。
「気をつけろよ、“琴音”」
スッと私を起こすと彼はあたしから離れた。
ビックリしすぎて何度もまばたきを繰り返すあたしに、意味深な視線を投げ掛ける彼。

