年下王子は意地悪王子






顔…ぶつけた。


低い鼻がもっと低くなるじゃんかあぁ…!





「ぅっ……」





それに膝もジンジンするし。


こんな大勢の前でこけるなんて、恥ずかしいよ……





「…………おい」





いつまでも起き上がらないあたしの耳に、低く美しい声が響く。


それも、すぐ近くで。





「…大丈夫か?」





ふわっと昨日も嗅いだ香りが鼻をくすぐる。


ぐじゃぐじゃの顔のまま、ゆっくりと頭を上げると……





「うわ、ひどい顔」





くすくすと小さく笑う王子が目の前に座り込んでいた。


アメジスト色の瞳を細めながら笑う王子に、また涙腺が緩む。


カッコ悪い…


どうしてこんなとこを見られちゃうんだろ……