体が異常なまでに熱を持ち始め、息苦しさを感じる。
や、だっ…!
小さく身をよじらせた。
「やめ、てっ」
その声に彼はふと動きを止めた。
―――助かった…
心の中で安堵のため息をついたその時。
「何しに来た」
さっきとは比べものにならないくらいの、冷たい、氷のような声が鼓膜を揺らす。
思わず身を固くしたあたしに、何しに来た?ともう一度尋ねる彼。
「俺がここにいることを知ってたのか?」
「ち、違うよ…!」
ぶんぶんと勢いよく首を振るあたしに、彼の瞳が細められる。
「た、頼まれたの」
「頼まれた?」
スッと彼はあたしから離れ、足元にある本に目を落とした。

