ボトッ――――。 あたしの手から本が滑り落ちた。 あまりの驚きに、目と口がだらしなく開く。 まるで床に縫い付けられたように足は動かなくて。 「―――ぇっ…?」 やっとのことで絞り出した声はかすれていた。 その声とあたしの視線の先――。 「………誰だ?」 暗闇に光る、アメジストの瞳―… .