「有末…」 功は佐柚の涙に驚いた。 「怒ってないよ、なんだよ、どうしたの…」 功はゆっくり佐柚に近づいた。 佐柚が目を閉じる。 瞬間、 ツー…と涙が頬を伝った。 佐柚と、黒板が交互に功の目に移る。 このぐちゃぐちゃな線は、 佐柚の苦しみだろうか。 初めて涙を見せる、この豪腕の美少女の、心なのだろうか。 「有末…」 思わず、 功は佐柚を抱きしめていた。