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ピピピピ ピピピピ ピピピピ

楽屋では、中途半端な恰好の女たちが眠っていた。


鳴り始めたのは、佐柚の携帯のアラームだった。

楽屋の隅で、衣装にまみれて眠っていた佐柚は、もそもそとアラームを止めた。

ディスプレイは9時を告げている。

もう1限は始まっている時間だ。


佐柚はゆっくりと起きあがる。

視界に入った自分の長い髪の毛は、抜けすぎた金色だった。


この目立つ頭で、しかもあとから
無理に行くこともないが、
学校にはもう失うものもない。

どうでもよかった。

「………」

女たちは起きない。


着慣れた制服に着替える。

大木の部屋から物音はしない。
どこかのクラブにでも出かけて、帰ってきていないのだろうか。


鏡に映る金色の髪が、
気持ちとは裏腹に明るくまぶしい。


佐柚はそのまま学校へ向かった。