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「…よぉ」
大木が、姿は見せず管理人室から声をかけた。

佐柚はそのまま楽屋に入る。
他の女はいなかった。
「今日は帰らない」

「あぁ?」
思いもよらない佐柚の言葉に、大木は驚いた。


「朝まで働く。ちゃんと客入れろよ」
乱暴にかばんを下ろす。
制服を脱ぎ始めた。


「なんだどうしたアリス。なんかあったか?」
新聞をたたむ音と一緒に、大木の拍子抜けした声が聞こえてきた。

目の前の姿見には、
下着姿の自分が映っている。


佐柚はいらいらした。

「お前には関係ない話だよ」