「すいませ…っ」
ぶつかった女子生徒の両腕をつかみ、大地は顔をのぞき込んだ。
「…有末!」
「何やってんの」
佐柚がきょとんとして立ちすくんでいた。
茶髪が頭のてっぺんでおだんごにされている。
「ごめん大丈夫か?」
「…大丈夫」
佐柚は由梨子を見ながら、遠慮がちに言った。
「有末佐柚ちゃん!?うわあ本当に可愛い~」
由梨子が大地を押しのけて、佐柚の目の前に立った。
由梨子は佐柚よりも背が高い。
勢いに圧倒され、佐柚は小さくおじぎした。
「穴川由梨子っていいます~。大地がいつもお世話になっちゃって!」
由梨子が大地の背中をぽんぽんと叩く。
佐柚の表情が少しずつひきつる。
佐柚は、自分でもそれを感じた。
