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次の日の朝は雨だった。
雨の日は、サッカー部の朝練はない。
大地は、
偶然駅で会った陵吾と一緒に登校していた。
陵吾とはクラスも部活も一緒で、功ほどではないが仲が良い。
「志望校どうするよ」
陵吾が悲痛の声をあげた。
「クラスの奴らもうガリ勉モードすぎて泣きそうだよ」
そう。
高3の、11月。
普通ならば絶賛受験勉強中のはずの時期だ。
しかしサッカー部は、
選手権を控えているので3年生は引退していなかった。
大地と功は塾に行っていないが、陵吾はずっと塾に通っている。
みな、それなりに焦りは感じていた。
「俺と功は、もう指定校がんばろう作戦だぜ」
大地はくるくると傘を回した。
「お前らはいいよなぁ」
陵吾は大地の肩に手を置いた。
「欲しがる大学はいっぱいあるぜ?選手権でスカウトされるに決まってる」
大地は苦笑いした。
「わかんねぇよ。陵吾だって可能性あるじゃねぇか」
陵吾の手を軽く払いのける。
払われた手をぽけっとに入れて、陵吾はふくれた。
「そうかなぁ」
