店中が静かになった。
男達も、佐柚から手を離す。
入口横の階段から、真っ黒でキラキラ輝く腿丈のドレスの女が現れた。
タイトから伸びる脚は白く細長く、漆黒な髪は真っ直ぐにへそ辺りまで垂れている。
大胆に開いた肩から覗く白い肌は、美しかった。
「…麗沙様」
誰か男が呟いた。
女の綺麗な切れ長の目が、佐柚をとらえる。
美しい女が2人、睨み合った。
先に目を背けたのは女の方で、手を叩いて叫んだ。
「こいつらは全員高校生だ!」
今度は誰も騒ぎ立てなかった。
大地は、どうなるんだろうと心配で、功を見ると、功も同じようだった。
「あたしが許可した!!」
思いも寄らない女の言葉に、大地は思わず、え…と声を漏らした。
「お前らはもういいよ、下がんな」
女が男達に言うと、スーツ姿の男達はみな一礼して、階段へ消えていった。
取り残された3人を交互に見て、
「ついてきな」
と女は言った。
「あんた達は続けて!」
女が店中にそう言ったのを合図に、店内はまた賑やかになった。
「申し訳ありません。すぐに代わりの者を用意しますので」
大地と功のテーブルに座っている女達に謝り、散乱している名刺を手早く拾い集めると、女達を他のテーブルに誘導した。
そして最後に、もう一度3人を見て、ふっと笑った。
