ビシャァァ
直後、2人のホストは振り返った。
頭から水をあびて、大地と功は、目を丸くしていた。
「お止め下さいお客様!」
佐柚は後ろから、2人の男に羽交い締めにされる。
女達は悲鳴をあびている。
店中が騒然とした。
大地が立ち上がる。
「ふざっ…けんな!」
佐柚は叫んだ。
男達が佐柚を追い出そうと集まってきた。
「あんた達がそうやって稼いだ金なんて、使いたくないんだからっ」
抵抗しながら、佐柚が叫ぶ。
「余計なことっ…しないで!」
「営業妨害だ!出て行きなさい!」
男達の口調が荒くなった。
大地と功は顔を見合わせた。
お互い顔はずぶ濡れで、ワックスでたてた髪もぺちゃんこだった。
「部員のみんなが待ってる!」
佐柚のその言葉に、男達の動きが一瞬止まった。
その一瞬の隙に、佐柚は男達から離れた。
「あんた達はこんなことしなくていいの!みんなとサッカーやるために学校行ってるんでしょ!?夜はその足を休めるためにあるんでしょ!?ふざけないで!!」
男達は大地と功に視線を向けた。
「…未成年か?」
またも客達は騒然とした。
ホスト達は女を宥めながら、蔑みの目を2人に向けた。
「来い」
男が大地と功に手招きをした。
しぶしぶ、大地と功は席を抜け、スーツ姿のイカつい男達の元へ歩み寄った。
「待ちな!!」
突然、大声がした。
太い、女の声だった。
