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大地に仕事のこと、借金のことを教えてから1週間が経った。
放課後の、誰もいない教室で、佐柚はひとり、黒板に落書きをしていた。
佐柚は、あれから大地にも功にも会っていない。部活が終わった頃にまた、下に降りようかな、と考えていた。
そして時刻は20時になった。
チャイムがなる。
サッカー部も活動を切り上げる時間だ。
佐柚はスクールバッグを肩にかけ、乱暴に黒板を消した。
黄色っぽい粉があとをひき、綺麗にはならなかったが、佐柚は気にしなかった。
昇降口をでると、部活上がりで部室に向かうサッカー部の男子達とすれ違った。
大地と功の姿はそこになく、佐柚は気に留めなかったのだが、
会話が、聞こえた。
「あいつら最近どうしたんだろうな」
「夜のバイトでもしてんじゃね?」
「うちのクラスのやつ、あいつらが銀台で降りてんの見たって」
「銀台?津川じゃなかった最寄り」
「大地と功いなかったら、練習ぱっとしねぇな」
大地と功の話のようだった。
「あいつら、ホストやってるっつぅ噂だぞ」
佐柚は立ち止まる。
振り返り、あとを追った。
「あの!」
男子達は立ち止まった。みんな色とりどりの練習着を着ていた。
