2人はスターバックスに入った。
大地はマックがいい、と言ったのだが、財布をもっていないと言っていた佐柚はちゃんと財布をもっていて、どうしてもと言うので大地が折れた。
エスプレッソを飲みながら、佐柚は携帯の電源をオフにした。
「邪魔が入るとめんどうだから」
わざわざ電源を切ることもないと思ったが、大地は何も言わなかった。
「…男の人が中から出てきて、功と俺に、ちょっとだけお前のこと話してくれた」
佐柚はエスプレッソをテーブルに置いた。
「…大木かな。あそこのオーナーだよ」
大地は、ああ…と納得した。
「借金がある、って」
意外にも、佐柚は笑顔を見せた。
「そう」
「この先は本人に聞け、って…」
佐柚は息を吐いた。
「中途半端なことしやがってあのくそじじぃ」
大地はこういう喫茶店には慣れないので、座り方なんかを気にしながら、そわそわしていた。
「中3の秋にね、父親が死んだの」
佐柚は話し始めた。
