俺は一度、 重ねられた小さな手を強く握ってから、 そっと放した。 なんか気が抜けた。 「帰ろう。送る」 まだ2時間目の最中だ。 でもどうせ戻る気なんかなかったし。 有末さんが笑った。 今にも壊れそうな、 ガラスの花のような笑顔だった。 涙は乾いていなかった。 でもその背中からは、 もう羽はたたまれていた。