「放してよっ!!」

有末さんに力強く腕を振られた。
放しちゃいけない。
俺はいっそう強く、細い手首を掴んだ。

「はなっ…放してよぉっ!なんで止めるの!?」

泣きじゃくりながら、有末さんが叫ぶ。
その声は、キンキンと屋上に響く。

「呼んでるんだからぁっ、そ…すけと、梨沙も…っ


やばい、
このひとは、
くずれていく…。


「有末さん!」

混乱して、泣き叫んでいるのを、大声で遮った。

有末さんが黙り込む。


「…死なないでくれ」