「兄貴に聞いた。 兄貴が中3のときの彼女らしい」 真也は、骨ばった左手の小指をたてて見せた。 「…そうか」 功にはその小指がひどく憎いものに思える。 「でも浮気じゃねぇよ。 国立に向かう途中だったんだ。 佐藤の彼女が急いでたんで 兄貴がひろったんだ」