「唯!」
絢華が声をあげた。
「佐藤くんも、こんばんは」
前髪はセンターで分かれ、
まっすぐで長い黒髪をたらして
制服姿の女の子がお辞儀をした。
功も空いている方の手をかかげた。
「唯、いま帰り?」
もう時刻は23時になる頃だった。
「塾なの」
古賀唯_
絢華の妹で、功とは同い年。中学生の頃、功とは同じ塾に通っており知り合い。
「功ね、メンバー入ったよ」
絢華が誇らしげに唯に言う。
唯はキレた大きな目を
さらに大きく開いた。
「本当?おめでとう!頑張ってね」
唯と絢華は、似ている。
しいて違いをあげるなら、
唯のキレた目に比べると、絢華の方が、少し丸いことだろう。
「さんきゅー」
功は笑顔を見せた。
唯と合流したこともあり、
功と古賀姉妹はここで別れることになった。
功はまたひとつ、
絢華エネルギーをためて、
自分の帰路についた。
