津川駅の1つ手前の駅が、 絢華の最寄りだった。 功はどうせ定期圏内なので、 いつも絢華と一緒に降り、駅から歩いて遠くない絢華の家まで送っていた。 絢華が功の手をひき、 前を歩く。 「大地くんもトップなんでしょ?」 「うん」 「よかったね、みんなと仲良くなれてさ」 絢華が振り向いた。 功は子犬の笑顔を見せる。 「大地はあいつ、俺のこと大好きだからさ」 「あほじゃん」 くだらない話をして、 のんびり歩くのは大切な日課だった。 「お姉ちゃん?」 突然、女の子の声がした。