次の日も、その次の日もずっと、フジとの関係は相変わらず。


何となく家に居づらいわたしは、学校と塾の課題をフジの所に持ち込んでやることも多かった。



つまり、パパとママの関係も相変わらず。



どうしてここまで喧嘩が続いてるのか、わたしにもわからない。



1回だけ、それぞれに喧嘩の原因を聞いたことがあったけど
どっちにもはぐらかされて終わった。



もしかして、浮気……とか?


パパが言ってた「フジ」って言葉と、ママが隠してるラブレターが重なって、気になる。



でも、やっぱりわたしには原因なんてわかるわけがなくて……



その影響もあって、フジとの何気ない時間が
わたしの中では欠かせないものになっていった。



でも、いつまでもこのままじゃいられない。



そう思い始めた夜、また2人の言い争いが聞こえて……



わたしはまた、家を飛び出した。






「おっ!今日は2回目?」



おどけてそう言うフジだったけど、わたしの顔を見てその表情を固めた。



「最初にここに来た時みたいな顔してるぞ。どうした?」



今日のフジは、出会った時と同じ服装だった。


ただ、首にはスカーフが巻かれてる。



そんなフジの姿を見てたら、何故だか思わず、涙が溢れてきた。



「聞くよ。俺が、聞くから。たぶん、歩巳は今、吐き出さなきゃいけない」